ヒューマノイドロボットセミナーを開催しました
2016/02/22
ヒューマノイドロボットセミナーは、悪天候にも関わらず、たくさんの方がご参加くださいました。
オープニングでは、ファーストブレス代表取締役小野寺氏より、今回のヒューマノイドロボットの実証実験を行うにあたり活用した、平成27年度ロボット導入補助金についてと、平成28年度の補助金の動向についてお話をさせて頂きました。
小野寺氏は、平成27年度の補助金の説明会が北海道では開催されなかった事に関し、他府県に比べて遅れているこれらの施策を北海道でもぜひ推進していく必要があるのではないかという一つの問題提起もされました。
北海道大学産学・地域協働推進機構 特任教授 荒磯恒久先生より「ロボットと共に拓くイノベーション」というテーマの基調講演では、イノベーションとは、In(=into)+novus(新しさ)からなり、新しさを注ぎ込むことである、というお話から始まり、イノベーションの本質に触れ、現在と次世代のイノベーションに関する先生の示唆に富んだ考えも盛り込まれた、密度の濃い講演をしていただきました。
講演テーマである「ロボットと共に拓くイノベーション」とは「ロボットとの共生」であるとされ、次世代のイノベーションは、人間の高次欲求(内面的向上)を充足させ、新たな価値・概念を人類に付与するものとなり、ロボットの社会的インパクト「技術イノベーション」は「社会イノベーション」に裏打ちされてこそ、人間はその利益を享受できるとされ、参加された方は熱心に耳を傾けられていました。
次に、道内4番目の規模を誇り、地方の中核病院である帯広厚生病院の事務次長 敦賀俊介様より「紹介窓口の受付業務事例」として、11月17日から19日の3日間行ったヒューマノイドロボットNAOの実証実験の事例をご紹介頂きました。
紹介患者受付業務で行った検証は、3日間で32名に参加頂き(うち女性が70%、60代以上が60%以上)、かわいらしい、癒される、といった感想や、ロボットと対面された方の笑顔がにこやかになる、など好評価の半面、ロボットが人を認識するのに困難になる環境では反応が遅く、また、会話が定型的などの改善点も上げられました。
このほか、1日2回、ロボットが自己紹介やダンスを行うデモンストレーションも行い、デモンストレーション後には、子供やお年寄りの話し相手もしましたが、こちらは総じて好評を得たというご報告を頂きました。
ご報告の中で、病院は人と人のコミュニケーションが大事ではあるが、定型業務(診療案内、人間ドック等)であれば、ロボットの導入も検討できる可能性が見いだせたこと、同時に、運営体制、ロボットの充電、メンテナンス、導入コスト、感染対策などの検討事項も見えたことなど、参加された方がロボットの導入について具体的に考えられるポイントもいただきました。
ヒューマノイドロボットNAOの実証実験の2例目として、特定医療法人とこはる 東栄病院(札幌市東区)事務部長 田中秀俊様より、「ヒューマノイドロボットの病院における活用実験」として、12月4日、7日の2日間で行った結果をご報告いただきました。
東栄病院では、児童が予防接種後の経過を見るために待機する30分の、ただ待つという苦痛を伴う時間に、果たして、ロボットがいるとどのような変化があるか?という実験を行いました
実際に、ロボットと対面した児童の反応は、世代によって異なり、就学前児童は怖がってしまう子もいるが、小学生だと積極的にコミュニケーションをとっていたこと、映像ではロボットに慣れている子供でも、実際にロボットが反応し目が光ったりするのを見るとびっくりすることなど、想定していなかった児童の反応があることがわかったという報告とともに、ヒューマノイドロボットは、インフォメーションや受付対応などでの活用に可能性があるのではないか、あるいはサポート業務など人でなくてもよい部分にロボットを活用することで、人のサービスレベルが上がるのではないかとのご感想をご報告頂きました。
最後に弊社代表の住から、NAOユーザーとして、また今回の実証実験での結果を基にしたロボティクスのソリューションについてご紹介し、実際に海外で活用されているNAOの事例についての映像をご覧いただいたのち、NAOとPepperによるデモンストレーションを行い、参加された方にヒューマノイドロボットの可能性をご自身の目で確認していただきました。
セミナー後のアンケートでは、事例を聞くことによりロボットの活用について参考になった、との感想や、業務・サービス等でヒューマノイドロボットの活用がある、または今後あると思う、と回答された方は68%となっており、活用するには改善点はあるものの、ヒューマノイドロボットへの期待が高いことがうかがえました。